実は「共通」だった伝える力とAI力

同じようにAIを使っても、「いい回答が来た!」と思えることもあれば、「いまいちだなあ…」という回答を得ることもあります。

この違いはどこから来るのでしょうか?

 

生成AIと人間とのコミュニケーションには、私たちが長年培ってきた「伝える力」が大きく影響しています。

「AI力」と「伝える力」は、実は共通の源から来ているのです。

ChatGPT教室でのひとコマ~

 

Sさん(受講者):今日も面白かったですね。でも、自分の出力結果と周りの人の結果を比べると、なんだか違いがありました。

 

Tさん(受講者):私も気になってたんです。わたし、国語が苦手だったんですけど、そのせいでしょうか、ChatGPTからの返答もなんだかイマイチな気がして。

 

Uさん(受講者):私は普段から文章を書く仕事をしてて国語の成績にはいささか自信があるんですが、いい感じでやりとりができたように思います。自分で言うのもナンですが。

 

講師:みなさん、面白い気づきがありましたね。生成AIを上手に使える人には共通点があるんです。「日本語が上手な人は、生成AIでもよい対話ができる」という傾向があります。

 

Sさん:私、ブログとか書いてますけど、それほど日本語に自信があるわけじゃないんです…。

 

Uさん:あ、でも考えてみると納得かも。私、日頃から「相手にどう伝わるか」を考えて文章書いてるんです。それがAIとのやり取りでも活きてるのかな?

 

Tさん:どういうことですか?

 

Uさん:たとえば、メールって宛先によって書き方変えますよね。取引先なのか、友達なのか、初めての人なのか…。AIにも同じように「相手に合わせた」書き方があるんじゃないかな。つまり、AIに向けた書き方があるかもしれない。

 

Sさん:なるほど!そういえば、子どもに説明するときと大人に説明するときって、言葉選び変えますもんね。ChatGPTも同じなのかな。

 

講師:鋭い観察ですね。生成AIを使いこなすコツは、まさに「AIの視点を理解する力」だと思います。人間同士のコミュニケーションと同じく、相手が理解しやすい言葉を選ぶことが大切。

 

Tさん:あー、それで私のプロンプトがうまくいかないのかも…。私、人間相手でも「伝わらない」って言われることが多いんです…。

 

Uさん:じゃあChatGPTとの対話って、コミュニケーションの練習になるかもしれませんね。

 

Sさん:AIが理解しやすいように考えるってことは、相手の立場に立って考えるってことですよね。それって人間関係でも大事なスキルだ。

 

Yさん(受講者):私も気づきました。私の場合、最初はAIからの回答がいまいちでした。でも「もっと具体的に」「例を挙げて」など、追加の指示を出せるようになってから、回答の質がぐっと上がったんです。人間との会話でも、聞き方って大事ですよね。

 

Wさん(受講者):あのー、質問してもいいですか?  私、先週から自分のブログ記事をChatGPTに読み込ませてから使うようにしたんです。そうしたら、出てくる文章が「私っぽい」と友達に言われて。これって関係あるんでしょうか?

 

 

講師:Wさんの質問にお答えしましょう。過去に書いた記事をChatGPTに与えると、確かに「その人らしい出力」が得られやすくなります。これは素晴らしい気づきです。

 

Wさん:なぜ過去の記事を読ませると「私らしく」なるんでしょうか?

 

講師:いい質問ですね。これは「専属AI(インハウスAI)」「分身AI」の考え方に近いんです。Wさんの過去の記事には、Wさんの文体や表現の特徴、専門知識や価値観が詰まっています。それをAIに知らせることで、AIがWさんを理解し、Wさんらしい表現ができるようになるんです。

 

Wさん:なるほど。それって、「性格をAIに与えた」みたいなものですね。

 

講師:ですね。

 

Uさん:文章力、表現力、相手への想像力…これってAIだけじゃなくて、人間関係でも大事ですね。

 

Sさん:ということは、AIとのコミュニケーションがうまくなれば、人間とのコミュニケーションもうまくなる…?

 

講師:その可能性は十分にありますね。AIからの回答に「あれ?」と思ったときがチャンスです。「なぜAIの回答がこうだったのか」、「なぜAIがこう理解したのか」を考えることで、自分のコミュニケーションの癖や弱点に気づくきっかけになります。

 

Yさん:なんだか不思議ですね。最先端のAIと対話することで、人間関係の基本に立ち返るなんて。

 

Tさん:じゃあ、私もっとChatGPTと練習して、コミュニケーション力上げなきゃ。

 

Uさん:私は今日、自分が無意識にやっていたことに気づきました。相手が誰であれ、AIであっても、「伝わりやすく」を意識するって大事なんですね。

 

Sさん:私も最近、ChatGPTに質問するとき、「こう聞いたら理解しやすいかな」って考えるようにしてます。そしたら、人間同士の会話でも同じことを考えるようになった気がします。

 

講師:みなさん、気づきがありましたね。テクノロジーがどれだけ進化しても、それを使うのは人間です。人間同士のコミュニケーションで培ってきた力が、AIとのコミュニケーションでも生きてくる。そして、AIとの対話で磨いた力が、また人間関係にも還元される。これは、興味深い現象だと思います。

 

Sさん:ChatGPT教室でAI技術のことだけじゃなくて、コミュニケーションについても学べるなんて思ってなかったです。

 

Wさん:私も勉強になりました。これからは過去の記事や自分の文章をもっとChatGPTに読ませて、より「私らしい」文章を書いてもらおうと思います。

 

Tさん:私は国語が苦手だから、逆に上手な文章をChatGPTに読ませて勉強してみようかな…。

 

講師:Tさん、それも良いアイデアです。AIを通じて文体を学ぶという発想は、新しい学習法かもしれませんね。