「なぜ親の言うことを聞かないのに、AIの言うことは素直に聞くのか?」
これは今後、多くの親が抱える現代的な疑問になるかもしれません。
デジタルネイティブの子どもたちとAIの間には、大人が想像する以上の親和性があるかも。
今回は、親子コミュニケーションにおけるAIの役割について想像を膨らませてみましょう。

~ChatGPT教室でのひとコマ:講師と生徒の対話から~
「先日、ちょっと面白いことが」
ChatGPT教室の終了後、Yさんが話しかけてきました。
Yさんはワーキングマザーです。
「私ね、子どもがChatGPTにアクセスするのを自由にさせてるんです。でね、私がさんざん勉強するように言っても全然聞かないのに、でも先日、あの子ったらChatGPTに質問をしながら勉強してたんですよ」
「おもしろいですね。『第三者効果』というやつかもしれませんね」
「第三者効果?」
「誰かに何かを伝えたいとき、直接伝えるよりも、第三者に言ってもらった方が伝わることがありますよね」
「ありますあります。私も小さい頃、母の言うことよりも、家庭教師のお姉さんの言うことをよく聞いていた記憶があります」
「まさにそれです。たとえば、親が子に勉強を教えようとすると、しばしば喧嘩になりますよね。だから、わざわざ家庭教師や塾の先生に教えてもらう。この現象はきっとAIでも起きるように思います」
「うちの子はですね、ChatGPTに『これからテスト勉強するけど、どうやったら集中できる?』って質問してました。ChatGPTの答えはごく普通のアドバイスだったんですが、それをあの子、なぜか素直に受け入れるんです」
「よくわかります。私たち人間は、どうしても親子関係や上下関係といった『しがらみ』の中で会話します。でもAIには、そういった関係性の複雑さがない」
「それは盲点でした。ついつい『お母さんの言うことを聞きなさい』というプレッシャーをかけてしまいますもんね」
「一家に一台、そういう常駐の家庭教師みたいなAIがあったらいいですよね。できればお子さんと仲良くなってもらって、いろいろとうまく話してもらえたら」

「なるほど!私たち親から伝えても響かないことを、代わりにAIに言ってもらうわけですね」
「親からはなかなか伝わらないときに『じゃあ、AI先生の意見を聞いてみようか』とやってみる。AIは、怒ったりしない、親切で友好的な存在として認識されやすいようですから」
「うちの子なんか、私が何か言うとなんだかんだ反論してくるのに、ChatGPTが言うと『そうかな』って感じになるようです」
「AIには公平性を感じるんでしょうかね。親の言葉にはもしかすると『将来のため』とか『受験のため』といった別の目的を感じ取るけれど、AIにはそういう駆け引きがないように感じるのかもしれません」
「でも、世間の親御さんは、AIをこういうふうに使うのをどう思うでしょう? なんだか親としての立場が弱くなる気もして…」
「ですね。想像ですけど、親御さんの反応は3つのタイプに分かれるんじゃないかと。まず『ありがたい助っ人』と歓迎する親御さん。特に受験を控えた家庭や、勉強をめぐって毎日バトルになっている家庭では、『とにかく勉強してくれるなら何でもあり』という心境でしょうし」
「私もその気持ちわかります」
「次に『複雑…』と感じる親御さん。『親の言うことを聞かないのにAIの言うことは聞くなんて』と少し傷つきつつも、効果があるならと葛藤しながら導入を検討する層です」
「そうですね…私も最初はちょっと複雑な気持ちでした」
「そして『絶対反対』派。『子育てにAIを介入させるなんてもってのほか』『親子の自然な関係を歪める』といった理由から、強く反対する親御さんもいるでしょう」
「いそうです」
「どの立場も理解できますよね。親としての役割や存在意義に関わる問題ですから」

「気になるんですが...これって子どもが親の気持ちを理解することにも繋がるんでしょうか?」
「面白い視点ですね。うまく使えば、その可能性は十分にあるんじゃないでしょうか。たとえば、AIがこんな風に説明するとしましょう。『お母さんが勉強しなさいと言うのは、あなたの将来を心配しているからだよ。でも、お母さんは感情的になりやすいから、時々キツく言ってしまうことがあるんだ』と」
「なるほど。私もよく感情的になってる(苦笑)」
「AIが中立的な立場から『親の気持ち』を代弁することで、子どもにも伝わりやすくなる。これは『翻訳効果』とも言えるでしょうね」
「まさに翻訳ですね。私が直接『お母さんはあなたの将来が心配なの』と言うと、うちの子は『またその話か』と目を逸らしますけど、AIがそう言うと『ふーん』って聞いてくれそう」
「親子の会話が平行線になりがちなのは、お互いの言葉の奥にある感情やメッセージが伝わらないからかもしれませんね。AIが『お母さんはこう考えているよ』と客観的に伝えることで、お子さんも素直に聞き入れられるかも」
「試しに、『親が子どもに勉強しなさいと言う理由』をAIに説明してもらって、それをあの子に見せてみようかな」
「おお、いいですね。逆に『子どもが親に反発する理由』をAIに説明してもらい、親御さんに読んでもらうという使い方もできます」
「なるほど。『子どもの気持ち』もAIに代弁してもらえば、私たち親も冷静に受け止められるかも」
「親子は感情的になりやすいですしね。AIという『感情を持たない第三者』が間に入ることで、お互いの気持ちをより理解できるようになる可能性はありますね」
「いわば『家族カウンセラーAI』みたいな役割かしら」
「ですね。ただ、まあひとつ気をつけたいのは、AIに全部任せてしまうのではなく、あくまで会話のきっかけにすることでしょうか。最後はやっぱり親子で直接対話することが理想ですしね」
「AIの説明を読んだ後に『お母さんもそう思ってたよ』と会話を続けるような感じですね」
「AIを活用して『親子のコミュニケーションの質』そのものを高めていく。そのためのツールとして考えると、可能性はさらに広がりますね」
(この記事は、ChatGPT教室での対話をもとに構成されています)
【あとがき】 今回とりあげた「子どもが親の言うことよりAIの言うことを聞く」という現象については、現時点ではまだ限られた事例や観察に基づいています。 この現象が普遍的かどうか、また子どもの年齢や環境によってどう異なるのかについては、今後の研究や調査で徐々に明らかになっていくでしょう。 AIと子どもたちの関係性は、テクノロジーの進化とともに変化し続けており、私たちはこの新しい関係性を理解するための道筋についたばかりです。 AIコンサル工房でも、この分野の研究動向を注視し、情報を更新していきたいと思います。 |