AIに丁寧に話しかけると、より良い回答が返ってくる…。
これは、私たちが日々実感していることです。
「そんなの気のせいでは？」と思われるかもしれません。
「丁寧な言葉遣いは意味がない」という意見も目にします。
でも、本当に意味がないのでしょうか？
実際には、適切な「丁寧さ」には、AIの応答品質を向上させる効果があることが研究でも示されています。
ここで重要なのは「適切な」という言葉。
形式的な丁寧さではなく、相手の理解を助けるような丁寧さが鍵となるのです。
今回は、なぜAIは丁寧に接すると賢くなるのか、そしてそれが私たち人間にもたらす思わぬ効果について、見ていきましょう。
「AIに丁寧に接すると、より良い結果が得られる」
ただし、ここで注意したいのは「丁寧さ」の意味。
「丁寧な言葉遣いをしてもAIの回答は良くならない」という意見を目にすることがあります。
確かに、単に「です・ます」調で話しかけるだけだったり、過度にへりくだる「丁寧さ」では、AIの回答はべつに良くなりません。
ここでいう「丁寧さ」とは、相手の理解を助けるような説明の仕方のことです。
人間同士のコミュニケーションでも同じですが、「これをやって」という命令的な言い方ではなく、「このような目的で、このように処理してほしいのですが」という具合に、文脈や目的を含めた説明をすることです。
AIは人間のような意味で感情を持っているわけではないと思います。
ですから、「丁寧だから喜ぶ」というわけではない。
しかし、人が丁寧な説明を心がけると、自然と情報が整理され、目的が明確になり、必要な文脈も提供されます。
同様に、AIもこうした説明を受ければ、より正確にタスクを理解できるのでしょう。
実際の研究でも、適度な丁寧さがAIの応答品質を向上させることが示されています。
ただし、過度な丁寧さは逆効果だという結果も出ています。
人間同士のコミュニケーションと同じですね。
過度に丁寧すぎると、かえって何を言っているのかが曖昧になり、本質が伝わりにくくなってしまいます。
さて、ここで注目したいのは、このような丁寧なコミュニケーションがもたらす、もうひとつの効果です。
それは、人間側への好影響です。
日本語には「言霊（ことだま）」という言葉がありますね。
言葉には力が宿るという考え方です。
現代の脳科学でも、使う言葉によって脳の活動が変化することが分かっています。
丁寧な言葉を使うことは、私たち自身の「脳」や「心」にも良い影響を与えるのです。
AIとの対話を重ねるうちに、私たち自身の説明の仕方も変化していきます。
より整理された、より明確な説明ができるようになっていく。
その変化は仕事や日常生活での人間関係にも良い影響を与えてくれるでしょう。
ここまでをまとめると、ポイントは2つです。
- 丁寧に接するとAIは賢くなる。ただしここでいう「丁寧」は、「説明すべきことがきちんと説明されていて、親切」という意味です。
- AIに丁寧に接することは、じつは人間である私たちのためでもある。良い言葉を使えば、脳に良い影響があるから。
共に学び、共に成長する。
そんなAIとの新しい関係を、築いていきましょう。