同じ料理でも、冷凍食品をレンジでチンしたとわかると評価が下がり、料理下手でも一生懸命作ったとわかると評価が上がる。
コンビニのおにぎりの方が衛生的でも、「母親が握ったおにぎり」の方が愛される。
私たちは結果の品質が同じでも、そのプロセスが明かされた瞬間に評価を大きく変える生き物です。
そして今、AI活用の現場でも、この現象が起きているようです。

オフィスでAIツールを使用した人が、周囲から「怠惰」「能力不足」「意欲不足」だと見なされてしまう…
(実際は怠惰でも能力不足でも意欲不足でもないのに)
そんな現象が、しばしば起きているようなのです。
ある研究によれば
- AIを使う社員は、使わない上司や同僚から否定的に評価されやすい
- いっぽうで、AIを使う社員は同じくAIを使う社員を好意的に評価しやすい
- AIが明らかに有用なタスクでは、AIを使っても評価は下がらない
- タスクに関係なく何でもかんでもAIな社員は、周囲からの評価が下がりやすい
- -採用場面では、AIを使わない面接官は、AIを使う人材の採用を避ける傾向がある
つまり、生産性を向上させるAIツールなのに、「使った社員が損をする」現象が起きているらしい。
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似たような体験を私自身もしています。
私はAIコンサル工房とは別に、協会設立・運営のコンサルティング事業(協会総研)も行っているのですが、そちらでAI活用について言及した際に、クライアントから明確な抵抗感を示されたことがあります。
(AIコンサル工房の業務では、そんなことはありません。そもそも「AIコンサル工房」なんて名前のところに、AI嫌いの人が相談に来ることはないですからね)
その際のクライアントの反応から見えてきた心理には、こんなものがありました:
「手抜き」への懸念:
- AIに丸投げしているのでは?
- 私のために真剣に考えてくれていないのでは?
「専門性」への疑問:
- AIでできることなら、なぜプロに頼む必要があるのか?
「個別性」への不安:
- 私の特殊な事情を理解してもらえているのか?
- 画一的な回答になっているのでは?
でも、ちょっと待ってください。
こうした懸念について、私なりの反論もあります。
「手抜き」疑惑について:
- 真剣に考えているからこそ、AIを使うのです。
- 一つの頭脳だけでなく、二つの頭脳で考えることで、より深く、より多角的な検討ができます。
- 手抜きどころか、倍、仕事してます。
「専門性」について:
- 確かにAIは誰でも使えますが、私がAIを使って出す結果は、きわめてレベルの高いものです。
- AI素人のクライアントが自力でAIを使っても、私のレベルのアウトプットには遠く及びません。
- AIを使うにもスキルが要るし、そのスキルは非常に奥が深いものです。
「個別性」について:
- これは結果(私が出した提案など)を見れば一目瞭然です。
- 画一的ではなく、その方の事情に適したものになっているかどうかは、結果が物語っています。
とはいえ、こうした反論が通じない心理的な背景には、もっと深い人間の本能があるのだと思います。
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人間の評価心理を理解するために、他の例も見てみましょう。
手作り vs 機械製造
- 手編みのセーターと機械編みのセーター(技術的には機械の方が均一で高品質)
- 職人による手作り家具と工場製品(手作りの「ゆらぎ」や不完全さが価値となる)
努力・苦労の可視化
- 同じ成績でも、天才が簡単に取った点数より、努力家が必死に勉強して取った点数の方が評価される
- 恵まれた環境より困難な環境で達成したスポーツ記録の方が感動を呼ぶ
- 自動車や飛行機の方が圧倒的に速く移動できるのに、人々は100メートル走で優勝するために努力するアスリートや、マラソンで世界記録に挑戦するランナーに熱狂する
自然 vs 人工
- 天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンド(物理的性質は同じかそれ以上でも天然の方が高価値)
これらの現象が示すのは、人間が「過程の物語性」「努力への共感」「自然性への憧憬」を深く重視するということです。

ここで一つ、考えてみていただきたいことがあります。
まだ武器を持たなかった原始人が群れ同士で素手で戦っていた時代を想像してください。
ある日、1人の天才が初めて
- 石を投げる
- 棒を振るう
という「武器」を使い始めたとします。
これを「卑怯」「反則」だと思うでしょうか?
それとも「発明」「進歩」だと思うでしょうか?
現代のAI活用も、まさにこれと同じ状況にあるのかもしれません。
新しいツールを使う人を「ズルい」とみなすのか、「賢い」とみなすのか。
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先ほどの研究結果と私の実体験を踏まえ、AIコンサル工房が提供する「専属AI」の価値を改めて考えてみました。
専属AIには、一般的なAIツールとは根本的に異なる特徴があります。
1. AIではなく「相談相手」として感じられる
「AI(ChatGPT)を使っている感覚」ではなく、「事情をよく知る頼れる部下と話している感覚」になります。
2. 堂々とAIと協働できる
「AIツールを使う」のではなく「優秀なパートナーと仕事をする」という感覚になります。
私たちAIコンサル工房が行うのは、技術導入支援ではありません。
個性のあるAIパートナーの提供です。
AIと人間の協力は、ビジネスの世界に革命をもたらしつつあります。
「怠け者認定」を恐れてAIから距離を置くのではなく、AIとの健全な関係を築くことで、これまでにない創造性と生産性を手に入れることができるはずです。
重要なのは、AIを「便利な道具」として使うことではありません。
AIを「信頼できるパートナー」として迎え入れることではないでしょうか。
その時、あなたのビジネスは新しいステージに入るでしょう。
もし気の合う最高の話し相手としてのAIとの出会いに興味がおありでしたら、ぜひ一度AIコンサル工房のドアを叩いてみてください。