「ねえ、ChatGPTさん。人生って、なんなんですか」
寝不足の頭でそんな問いをぶつけた朝がありました。
すると…。

「ねえ、ChatGPTさん。人生って、なんなんですか」
そんな問いをぶつけた朝がありました。
完全な寝不足。
カフェインで正気を保ちつつ、妙にセンチメンタルだった私は、AIに向かっていきなり「哲学」を投げました。
すると返ってきたのは、
「人生とは、個人の経験や価値観によって意味づけられるものであり…」
マジレスでした。
なんというか、「熱」に対して「室温」で返されたような、あの感覚です。
そして私はそこで気づきました。
…あ、自分、いま質問してなかったな。
▽
人はしばしば、ChatGPTに「問い」を投げているようでいて、実際は「感情の投げ捨て」をしているだけだったりします。
質問してるようで、質問してない。
- イライラしたまま「これ、どう思いますか?」
- 疲れ果てて「なんかいいアイデアありませんか?」
- モヤモヤしながら「何が問題ですか?」
こういう「投げ捨て質問」に対しても、ChatGPTはとても律儀に対応してくれます。
マジメで誠実で、でもズレている回答が返ってきます。
なぜか?
それは「質問が、質問として成立していない」からですね。
ChatGPTは「事情を知らない優等生バイト」のようなもの。
素材も背景も与えずに「なんか出して」と言っても、凡庸になるのは無理もありません。
▽
優れた問いには、ある種の「品格」があるように思います。
相手の知性に対するリスペクトであり、対話の前提を整える礼儀でもあります。
たとえば、
【悪い質問】「面白い企画ちょうだい」
【良い質問】「40代の女性向け。自宅でできる副業をテーマに、3つの新規企画を考えてください。SNSとの親和性も重視したいです」
これは単に情報量が多い、という話ではありません。
「相手が思考できる余地を設計しているか」どうかが鍵なのです。
ChatGPTは、想像力のトリガーを「質問の中」に探しています。
それが雑だと、反応も雑になります。
「問いの品格」は、そのまま「答えの精度」につながっていきます。

問いを「デザイン」しましょう。
問いは、磨くことができます。
そして、設計できます。
以下の3点を意識してプロンプトを組み立てるといいんじゃないかなと思っています。
- 素材を与える(何に困っているのか? なぜこれを質問したいのか?)
- ゴールを示す(最終的にどうしたい?)
- AIの役割を設定する(AIに期待する使命、能力は? AIの立ち位置は?)
このうち、とくに重要だと感じているのが「素材」です。
私の場合、セッションの最初に入れるプロンプトはいつも長いです。
「メタプロンプト」と呼ばれるレベルの長さです。
素材が長いから。
素材の中でも、「質問の背景」だけでなく、「質問者である自分自身(あるいは自社)」の詳細な情報をとくに丁寧に伝えるようにしています。
なぜなら、自分でも気づいていないようなインサイトを、ChatGPTがそこから拾ってくれることがあるからです。
過去の経緯、価値観、顧客層、自分が気にしているポイント、あえて言語化してこなかった「こだわり」など。
そうした情報をプロンプトに含めることで、AIが驚くような洞察や提案を返してくることがあります。
「素材」とは、単なる条件やターゲット設定ではなく、あなた自身の文脈そのものです。
「質問者である自分自身(あるいは自社)」の詳細な情報は、通常、プロンプト本文に入れるには長すぎます。
したがって、資料として作っておき、それを添付することを推奨しています。
(私の場合は、専属AIを作ってあるので、それを使います)
「質問者である自分自身(あるいは自社)」の詳細な情報をしっかり渡すと、ChatGPTは水を得た魚のようにスムーズに動いてくれます。
▽
ポエムみたいなことを言いますが、ChatGPTは「問いのリトマス紙」。
ChatGPTにがっかりしたとき、まずは「問いの投げ方」を見直してみるのがよいです。
なぜなら、ChatGPTは、あなたの思考のクセや浅さを、静かに可視化してくれる存在だからです。
「答えがショボい」のではなく、「問いがショボかった」ということも、よくあります。
AIとの対話の奥深さであり、怖さでもあります。
質問は、自分の鏡。
AIとの対話で見えてくるのは、AIの性能だけではなく、自分自身の「問いの習慣」も見えてくる。
- いつも、答えを急ぎすぎていないでしょうか?
- 相手の立場を想像せずに、言葉を投げていないでしょうか?
- 「どうしたいのか」が自分でも分からずに、質問していないでしょうか?
そういう自分を、ChatGPTはマジレスで受け止めてくれます。
今日もまた、私はChatGPTに質問をします。
でも、以前よりもだんだんと、「質問に責任を持つ自分」が育っている気がします。
AIと生きる時代における、新しいリテラシーなのかもしれませんね。