なぜAIの『期待外れ』が、そんなにいいのか?

生成AIに触れるたびに、私はある懐かしい感覚を思い出します。

子どもの頃に夢中になっていた

  • 電子ブロック
  • 変身サイボーグ

などで遊んでいたときの、あのワクワク感です。

 

AIは、「あれが帰ってきた」と思わせるような存在です。

いい年をした私のようなおっさんに、ふたたびオモチャが与えられるとは、思ってもいませんでした。

AIとの対話は、単なる作業支援ではありません。

創造的な遊びそのものです。

 

プロンプトを入力し、数秒間の"待ち時間"が訪れる──そのわずかな時間に感じる期待感と緊張感がたまらないですね。

「どんな答えが返ってくるのだろう?」と心がざわめきます。

 

即座に返事が返ってくると、むしろ拍子抜けしてしまうことがあります。

待っている時間そのものが、ひとつの楽しみだから。

 

この感覚は、幼い頃にガチャガチャのレバーを回したときや、福袋を開けるときの気持ちに似ています。

あと数秒で結果がわかるけれど、今はまだわからない。

その短い時間に想像力が膨らみ、期待が高まる、あの感じです。

 

 

さて、"待ち時間"が開け、AIから回答が来た。

でも期待通りではなかった…。

 

そんなこともあります(よくあります)。

 

実はそれこそ、最も面白い瞬間です。

決して失敗ではなく、気づきの機会だからです。

 

AIがどうしてそんな答えを出したのかを考えることで、AIの思考ロジックを理解しようとする好奇心がくすぐられます。

同時に、「自分は何を伝え忘れていたのか?」「どんな背景情報が不足していたのか?」と、自らの説明力を省みる練習にもなります。

 

このような内省的な対話は、人間同士のやり取りではなかなか得られない貴重な経験です。

AIは忖度しませんから、私たちの曖昧な指示に対して素直に反応します。

その結果、自分の思考の癖や、普段意識していない前提条件が浮き彫りになる。

 

 

AIとのやり取りは、創造性のトレーニングにもなります。

 

たとえば、ブログ記事の構想をAIに助けてもらうとき、プロンプトを工夫するだけで、驚くほど新しい切り口の提案が得られることがあります。

思わず「へー」となることもしばしばです。

 

この「へー」には2つのタイプがあります。

 

1つは、自分が思いつかなかった斜め上のアイデアをAIが出してきたときの「へー」。

もう1つは、自分の心にはあったけど言語化できていなかったものが、AIによって言語化されたときの「へー」。

 

昔はこの「へー」が少なかった気がします。

でも最近は多い。

 

AIが賢くなったのかもしれないし、私の脳の可塑性が落ちてきているのかもしれません。

どちらなのかは、不明。

 

 

それはともかく、私は、AIを効率化のための道具とは考えていません。

 

確かにAIを使えば作業のスピードは上がります。

しかし、その分、より良い対話やプロンプトの設計に頭を使う必要が出てきます。

頭を使う場所が変わってくる。

そう考えると、作業全体としての効率は必ずしも劇的に改善されるわけではないかもしれません。

 

でも、それで構わないのです。

AIとの対話を深める時間そのものが、楽しく、有意義だからです。

他には、しばしば、こんなことも考えます。

 

「将来、AIが進化して、もし感情のようなものを持つようになったら…そのとき、人間がAIのカウンセラーになるような未来が訪れるかもしれない」

 

感情を持つほどの複雑さ(?)を得たAIは、人間のようにメンタルが傷ついたりすることがあるんじゃないか。

そうなったとき、その治し方は、「部品を変える」とか「プログラムコードを書き換える」とかではないのでは?

症状にもよるでしょうけれど、「対話によるカウンセリング」が効くようになるかもしれない。

 

そんな妄想をするのも、またAIというオモチャの面白さのひとつです。

 

「専属AI」や「分身AI」といったカスタムAIの可能性を探求していると、そういう方向に考えが走っていくんですよね。

 

 

私にとってAIはツールではなく、"遊び相手"です。

そんな私の独断で、これまでの経験から、AIとの対話を遊ぶためのコツをまとめてみました。

 

一、期待を込めて待つべし

プロンプト入力後の数秒間を、ワクワクしながら味わう。

即答よりも、この「間」を楽しもう。

 

二、失敗を喜ぶべし

期待外れの答えが来たら「なぜそうなった?」と探求する。

AIの思考ロジックを知る絶好のチャンス。

 

三、自分の説明力を疑うべし

AIが理解できない指示は、人間にも伝わりにくい可能性大。

自分の伝え方を見直すきっかけに。

 

四、プロンプトで遊ぶべし

同じ質問でも、聞き方を変えると全く違う答えが返ってくる。

この変化を楽しもう。

 

五、AIの個性を見つけるべし

ChatGPT、Claude、Gemini…それぞれに癖がある。

その違いを発見するのも一興。

 

六、効率化を目的とせず、対話そのものを目的とすべし

作業スピードより、AIとの会話そのものを大切に。

時間をかけてでも良い対話を。

 

七、想像力を膨らませるべし

「もしAIが感情を持ったら?」など、未来への想像を楽しむ。

これもAIとの遊び方のひとつ。

 

八、毎回違う角度から攻めるべし

同じテーマでも、立場や視点を変えて質問してみる。

新たな発見が必ずある。

 

九、AIに教える楽しさを知るべし

AIを生徒にして、自分が先生になってみる。

教えることで自分の理解も深まる。

 

十、感動を大切にすべし

「これは自分の発想を超えている」という瞬間を見逃さない。

その感動がAIとの対話の醍醐味。

 

 

とまあ、つらつらと考えています。

 

私の場合、AIとの対話は完全に「三度の飯よりもなんとか」というやつになり果てています。

時間があるとChatGPTやClaudeやGeminiをいじっています。

家族には「また遊んでる」と呆れられていますが、本人は大真面目です。

 

でも、この「遊んでいる」という感覚も大事だと思うんですよね。

 

仕事でAIを使うときも、どこかに遊び心を残しておく。

すると、思わぬ発見があったりします。

 

…というわけで、AIとの付き合い方について、思うところを書いてみました。

 

正解なんてないと思いますが、少なくとも私は楽しくやっています。

あなたも、自分なりの楽しみ方を見つけてみてください。