「仕事」と「事業」
この2つの言葉が意味するものは、実は大きく異なります。
ChatGPTをはじめとするAIの登場により、この違いはこれまで以上に重要な意味を持ち始めています。
AIは私たちの働き方を大きく変えようとしていますが、その変化は「仕事」と「事業」で、まったく異なる形で現れているのです。
この記事では、「仕事」と「事業」の本質的な違いを探りながら、AI時代におけるそれぞれの可能性について考えていきます。
あなたは「仕事」と「事業」、どちらを選びますか?
そこでAIをどう活用していきますか?

あなたのしたいことは、「仕事」でしょうか、それとも「事業」でしょうか。
言いかえると、あなたは「仕事」をしたいのか、「事業」をしたいのか、どちらでしょうか。
むろん、どちらであってもあなたの自由。
片方が良い、片方が悪い、でもありません。
ただ、私は
「仕事」よりも「事業」のほうが面白いですよ
と、ここでは主張したいです。
「仕事」と「事業」、その違いはどこにあるのでしょうか。
- フリーランスでやっているなら「仕事」
- 会社を作ってやっているなら「事業」
…というわけでもなさそうです。
フリーランスでも、プロデューサーみたいに動いてビジネスを回す人がいます。
この人は「事業」をしています。
会社を作ったとしても、社長=社員、つまり実質1人の会社で他者から注文を請けて作業している会社があります。
その会社は「事業」ではなく「仕事」をしていることが多い。
- 金額が小さければ「仕事」
- 金額が大きければ「事業」
…というのも違うようです。
たとえば、プロのスポーツ選手が何千万、何億という年俸を得ていても、「事業」には見えません。
プロスポーツ選手は「事業」でお金を得ているのではなく、「仕事」でお金を得ています。
要するに、「労働」の対価としてお金を得ているならば、金額の多寡にかかわらずあなたのしていることは「仕事」です。
- 講師をして報酬を得る
- 執筆をして報酬を得る
- 講演をして報酬を得る
- デザインをして報酬を得る
これらはすべて「労働」であり「仕事」。
いっぽう、
- みずからなにかを企画する
- 協力者やスタッフを集める
- 集客をする
- さまざまな経費を支払う
- 残ったお金(利益)を得る
こうした動きは「事業」となります。
残ったお金は、多いかもしれませんし、少ないかもしれませんし、赤字かもしれません。
「事業」は、そのリスクを負います。
また、
- 商品を仕入れる
- 販売する
- その差額を利益として得る
これも「事業」です。
差額はプラスかもしれませんしマイナスかもしれません。
「事業」だからそういうリスクを負います。
そういう全体のことをまるまる楽しめるようになれば、「事業」ができます。
自分で作業をするより誰かを雇う、誰かに発注する…そういう発想になってくれば「事業」ができます。
(雇う、発注するの相手は、人間だけでなく、AIも対象です)
事業にはリスクがともないますが、ギャンブルのリスクとは性質が異なります。
ギャンブルの場合、リスクをどうにかするのは難しい。
大部分、運まかせだからです。
ですが事業の場合は、リスクを有利にするために工夫する余地がいろいろあります。
たとえば、ビジネスモデルをどうするかで結果は大きく変わります。
この工夫をまるまる楽しめるようになれば、「事業」ができます。

このように、「仕事」と「事業」には本質的な違いがあります。
そして今、AIの時代を迎え、この違いはより重要な意味を持ち始めています。
なぜなら、AIは「仕事」を代替できますが、「事業」を代替することは難しいからです。
たとえば「講師」。
- 「仕事」としての講師業は、AIにもできます:AIは優れた講師として機能し、学習者に知識を伝えます。
- いっぽう、講師業を、『カリキュラムを企画し、独自の教室を運営し、新しい教育の形を生み出していく事業』として捉えた場合、そこには人間による創造性とビジョンが必要です。
繰り返しますが、AIは「仕事」を代替できます。
しかし「事業」は人間のものです。
「事業」は人間のものですが、AIを強力な味方にすることはできます。
AIを活用し、「仕事」の部分を効率化し、より多くの時間と労力を「事業」の本質的な部分に振り向けるのです。
例を挙げてみましょう。
- 教室経営者の場合:教材作成やカリキュラム構築といった「仕事」的な部分はAIに任せる一方で、教室の独自性を高めるアイデア出しや、生徒一人一人に合わせた学習プランの設計といった「事業」の本質的な部分により注力する。
- 商品販売の場合:在庫管理や顧客対応といった「仕事」的な部分をAIに委ねることで、新商品の企画や販売戦略の立案という「事業」の核心的な部分により多くのエネルギーを注ぐことができます。
つまりAIは、「仕事」から「事業」へと私たちの視点を移行させる触媒になり得るのです。
個人の能力に依存する「仕事」から、システムとして機能する「事業」への転換を促進します。
AIの急速な進化は、私たちにこうした「仕事」から「事業」への意識転換を促しているのかもしれません。
この変化を前向きに受け止め、AIを味方につけることで、より大きな可能性が開けるはずです。